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投資指標は多数ありますが、その中でよく使われる、ROEとROAについてのお話です。皆さんの中でも聞かれたことがある方の方が多いと思います。
このROEやROAという数値は主に上場会社が投資家やアナリスト向けに会社としての資金効率や資産効率を説明するための共通言語として使われることが多いので、僕の本業ではよく触れる概念でもあります。
実際に、ROEやROAという指標を使って説明できるので楽だとは感じます。
但し、個人の不動産投資家で出資してくれる投資家やアナリスト向けに説明を求められることはなく、あるとしても金融機関への説明しかない中で、ROEやROAの指標で不動産投資のパフォーマンスを測ることに意味があるのか?ということは感じています。
今回はそもそもROE、ROAとはどういった概念か?ということを説明した後、不動産投資においてはROAの考え方を重視すべき理由についてお伝えしていきたいと思います。
コンテンツ
不動産投資におけるROEとは?
ROEは、「Return On Equity」の略語で、自己資本(不動産投資的に言えば頭金)に対する収益を測る指標です。
例えば、5,000万円の不動産があり、1年あたりの家賃収入が500万円だとします。
つまり、表面利回り10%の物件です。
頭金1,000万円を入れて、ローン4,000万円で当物件を購入した場合、この投資における一般的なROEは以下の算式で求めることができます。
500万円(家賃収入) / 1,000万円(頭金) = 50%
頭金を少なくして、借入比率を高めれば高めるほどROEは改善していきます。
収益の部分を、家賃収入にするのか?家賃収入から必要経費を除いた手残りキャッシュフローにするのか?は議論があるポイントですが、頭金とROEの関係性は変わりません。
ちなみに、上場会社でROEが重要指標とされているのは、会社の自己資本は株主に帰属しており、その自己資本を活用して、どの程度収益を上げることができたのか?というポイントを株主は意識しているためです。
不動産投資家の場合、第三者より出資を受けるというケースは少ないと思うので、あくまで自分自身の中での資本効率を測るためにROEを活用する必要があるのか?という話になります。
不動産投資におけるROAとは?
一方、ROAは「Return On Asset」の略語です。言葉から類推できますが、総資産額に対する利益の割合で求められます。
例えば、5,000万円の不動産があり、500万円の年間家賃収入だった場合、ROAは以下の算式で求められます。
500万円(家賃収入) / 5,000万円(総資産) = 10%
表面利回りと同じ計算方法です。
ただ、ここでご注意いただきたいのは、ROEの章でも申し上げた通り、何を”Return”にするのか?という話です。
上記設例では、年間家賃収入を”Return”としましたが、僕は、ROAを計算する上では手残りキャッシュフローを”Return”とすべきだと思っています。
例えば区分所有マンション投資であれば、手残りキャッシュフローは以下の算式で計算できます。(満室前提)
家賃収入 ― 修繕積立金 ― 管理費 - 固定資産税・都市計画税 = Return
ということで、上記算式で求められた数値を不動産価格で割って、求めたものをROAとすべきだと僕は思います。
ROAは資産収益性を示す指標です。
つまり、所有している不動産がどの程度収益を生み出してくれているか?を測る指標であり、不動産投資においては非常に重要です。
但し、ROAが高いからと言って優良物件とは限りません。
一般的にROAが高い物件は保有リスクが高いケースが多いです。保有リスクが高いからこそ購入希望者が少なく、結果価格が下がっていくというロジックです。
不動産投資においてはROAを重視して考えるべき理由
ROEとROAの違いについて説明をしましたが、どちらが、より不動産投資のパフォーマンスの実態を示していると思いますか?
僕はROAだと思います。
ROEは、借入比率が高ければ高いほど数値が改善します。
つまり収益性は平均以下であっても、頭金を少なくすればROEが良く見えてしまうことになり、この点について違和感があります。
例えば、1億円の物件を頭金100万円、投資ローン9,900万円で購入し、年間手残りキャッシュフローが100万円という場合。
ROEは100%となり、100万円の自己資金で年間100万円の収益を得たことになり、ROEとしては悪くない数値です。しかし、投資としてみたらどうでしょうか?
インカムゲインの観点だけで言えば、1億円も投資に対して年間100万円の手残りキャッシュフローという結果は、不動産投資としては、決して良い投資ではないと思います。
キャピタルゲインの観点で、どう考えても購入した金額以下にはなり得ない物件、現時点では100万円しかないけど、現入居者の家賃が相場以下で今後利回りを上げていくことが出来る等もあると思うので、一概にこれだけで判断はできませんが、ROEだけで考えるのは危険だと思います。
ROEをより効果的に活用できるのは既に適正な自己資本比率が維持できている状況だと思っていて、適正な自己資本比率については、以下の記事で書いていますので、ご参考までにしていただければと思います。
【参考記事】
不動産投資における自己資本比率の目安について
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