キャッシュフローを不動産投資の目標設定

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書店で並んでいる不動産投資関連書籍の書籍名を見ると資産○億円、家賃収入〇〇〇〇万円というのをウリにしている本を見かけることがよくあります。

しかし、仮に資産数億円所有していても月々のキャッシュフローはトントンなんてこともあるのが不動産投資です。

例えば、利回り7%、築20年、都内1億円の中古RC造の物件をフルローンで金利2.5%、ローン期間30年で購入できたとします。おそらく、このローン条件に大きな違和感を持つ方はいない水準かと思います。

この場合、満室家賃収入は約58万円/月で、ローン返済額は約39万円/月となるため、満室家賃収入に対するローン返済比率は約67%となります。

また、物件運営にかかる経費は、満室想定家賃収入に対して20%~25%程度発生するのが一般的だと言われているため、仮に25%の経費率だとすると、ローン返済と経費だけで満室家賃収入の92%が流出してしまうことになります。

しかし、実際には満室経営を永遠に続けることは不可能ですし、トラブル対応や部屋の原状回復等で想定以上に経費が発生し、経費率が25%以内に収まらない年もあります。従い、このケースでは確かに家賃収入は700万円/年と言えますが、実際に手元に残る金額は小さい、もしくは赤字になってしまうこともあり得る状況です。

そこで、本日は不動産投資において設定すべき数値目標についてお伝えしたいと思います。

資産金額や物件数がゴールではない
不動産投資においてもある程度の目標を立てることは、モチベーションを保つという意味で必要なことです。

しかし、不動産投資では不動産の市況や融資の状況によって左右される部分もあるので、通常の目標と異なり厳密にいつまでに達成するという目標にはしない方が良いと個人的には考えています。

そうでないと、時期を明確に決めているからと言って、購入すべき市況ではないのに無理やり購入するという方もお聞きするので、時期に関しては厳密に定める必要はないと個人的には思います。

では、不動産投資を始める前にどういった数値を目標として設定すべきなのでしょうか?

少なくとも、所有する資産金額や物件数ではないと私は考えています。

というのも、資産金額が1億円以下でも、利回りが非常に高い物件を運用していてそれなりにキャッシュフローを得ている人もいれば、逆に、上記例のように資産金額が1億円以上であっても、物件の利回り、ローン金利やローン期間等の条件がマッチせずそこまで手元にお金が残らないという方もいます。

資産金額や物件数を目標値にしてしまうと、物件さえ購入できれば、その物件のクオリティーはそこまで意識することなく、また、融資の条件への意識が弱くなりやすいので注意がっ必要です。

そういった意味で資産金額や物件数を目標にすることは不動産投資家として考えるべきことを放棄する可能性もあるため、目標設定としてはベターではないのかなと考えております。

毎月毎月の積み重ね
不動産投資は融資の期間だけ考えると非常に長いビジネスだと考える方もいるかもしれません。

しかし、絶対に言えることは毎月毎月のキャッシュフローがプラスであれば、不動産投資に起因した自己破産は発生しません。

そういった意味で、毎月毎月の手元に残るキャッシュフローが考えるべき数値と私は考えます。

とは言いながらも、満室経営をしていると毎月勝負という感じで気を張っているわけでもないのですが、どんなに長期的な計画を立てようと、毎月毎月のキャッシュフローを最大化するというのが基本的な考え方だと私は認識しています。

手残りキャッシュフローの重要性
では、最終的なキャッシュフローというのはどういった算式によって算出されるのでしょうか?

最終手残りキャッシュフロー = 家賃収入 - ローン返済額 - 管理費・修繕費 - 固定資産税・都市計画税 - その他支出

数式で表すと単純明快なのですが、この最終手残りキャッシュフローを最大化するために様々な工夫の余地があります。

まず分かりやすいのが、家賃収入です。
部屋の内装を変え、家賃をアップさせたり、最初の1か月をフリーレントにすることによってその後の家賃をアップする方法等、家賃アップの手段は多くあります。また家賃収入以外の収入を創出することも考えられます。

そして、ローン返済額。簡潔に言えば、ローン返済額を減らすためには、ローンの期間をできる限り長くとり、金利をできる限り低くすることが求められます。

管理費・修繕費も交渉によって減額することは可能です。
業者によってクオリティーも異なりますし、コスト幅も広いです。
コネクションがない中で最初から業者の特質や仕事のクオリティーを知ることは難しいのでトライ&エラーの中でベストな業者を探していく過程が必要になっていきます。

固定資産税・都市計画税は自分自身で操作できないので、これは通知金額を粛々と支払うということになります。

このように最終手残りキャッシュフローを最大化するためには、不動産経営の根幹と言えるべきことをすべて考えなければいけません。

不動産投資における目標を考えるにあたって、究極的には人生を豊かにするという点は皆さん同じだと思います。豊かにするためには何が必要か?と考えた時に、やはり一番大事なのは、最終的に自分の手元にいくらお金が残るのか?ということではないでしょうか?

この部分を見失い、資産金額や物件数を自慢したり、融資金額を自慢したりするのは本質から外れていると個人的には考えます。逆に言えば、この部分を見失わずに、物件規模に比例して、手元に残るキャッシュフローが増えていくのであれば、規模拡大を躊躇う必要はないかと思います。

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